養命酒
肉体疲労・胃腸虚弱・冷え性などでおなじみの養命酒ですが、長野県駒ヶ根に工場があるのは、ご存じでしたか?
県内で作られて、全国で販売されている養命酒とは、どのようなものなのでしょうか?
養命酒の歴史は古く、1602年、信州伊那谷大草の塩沢家当主、塩沢宗閑翁によって創薬されました。雪の中に行き倒れている旅の老人を救ったお礼に、薬酒の製法を伝授されたのが始まりです。
古文書には、1813年に当時の尾張藩主が養命酒の製法や内容について尋ねた事、出来上がるまでに2300日もかかる事、一子相伝の秘法である事などが記されています。
養命酒はもち米を原料としたお酒に、
14種類の生薬を漬け込んで作られています。
漬け込む事で、生薬の有効成分が分解される事なく自然に近い状態で溶け出し、吸収もされやすくなります。
また、食前酒には、胃腸の働きを高め食欲を増進させると共に、体を温め、リラックスさせる効果もあります。
この2つが合わさる事で、より良い効果が期待できます。
生薬について
インヨウカク(淫羊藿:イカリソウの地上部分)
強壮・強精作用が有名です。男性の性的不能・女性の不妊・高齢者の衰弱や腰・膝の衰えに用います。
他にもしびれや痛みに良いとされ、下肢麻痺・脳卒中後の半身不随・筋肉や関節の痙攣にも使われます。
加齢による健忘症の改善にも良いとされています。
また、血圧降下作用もあり、更年期の高血圧にも使われます。
ウコン(鬱金:ウコンの根茎)
ターメリックとも呼ばれ、カレー粉の原料として有名ですが、日本ではたくあんの色付けにも使います。
血行を整え、新陳代謝を促して体の機能を整えます。
痛み止めとして、胸部痛・月経痛・打撲などに使われます。
胆汁の分泌促進、健胃作用があり、肝臓の不調・胃炎・胃酸過多などに使われます。
ケイヒ(桂皮:ケイの樹皮)
お菓子の八つ橋の香りに使われています。
健胃薬として食欲不振・胃腸のもたれ
胃の痛みなどに用いられます。
冷えを取り除き、血行を良くする成分が含まれており、冷えから来る肩こり・関節痛・腹痛・下痢などに効果があります。
コウカ(紅花:ベニバナの花)
染料として使用されています。
血行を良くし、うっ血を取り除きます。婦人科特有の血行障害による生理痛や産後の腹痛、冷えに効果があります。
ジオウ(地黄:アカヤジオウの根)
増血・強壮の作用があり、貧血や虚弱体質の改善・血行障害・ホルモン分泌障害にも効果があります。
利尿作用・血糖降下作用も知られています。
シャクヤク(芍薬:シャクヤクの根)
鎮痛・鎮静・抗炎症・血圧降下作用があります。
婦人向けの強壮薬として月経不順・冷え性
などに使われてきました。
チョウジ(丁子:チョウジのつぼみ)
スパイスとして知られていますが、消化機能を促したり、体を温めたりする作用があり、消化不良・嘔吐・下痢などに使われます。
殺菌作用があり、歯の痛み止めや防腐剤としても利用されます。
トチュウ(杜仲:トチュウの樹皮)
血圧降下作用が有名で、血圧が高めの方で効果が大きい様です。植物エストロゲンとも言われる女性ホルモン様作用をする成分が更年期障害の改善をします。
ニンジン(人参:オタネニンジンの根)
高麗人参とも呼ばれ、古くから不老長寿の万能薬として珍重されてきました。
免疫機能を高める作用があり、疲労回復・強壮・消化促進・血糖降下などの幅広い作用が知られています。
ボウフウ(防風:ボウフウの根・根茎)
発汗・解熱・鎮痛作用があり、風邪による頭痛・悪寒や、関節炎・筋肉痛などに使われてきました。
また、排膿作用があるため、湿疹や皮膚の痒みにも使われます。
ヤクモソウ(益母草:メハジキの地上部分)
名前の由来は、婦人病に効果があるからと言われています。
血流障害を取り除いて、血行を促したり、月経を整えたりむくみを取り除きます。
ウショウ(烏樟:クロモジの木・皮)
良い香りがするために、高級爪楊枝として利用されています。
鎮静・鎮咳・去痰作用もありますが、胃腸の働きを整える芳香性健胃薬としての作用や体を温める効果もあります。
ニクショウヨウ(肉蓯蓉:ホンオニクの肉質茎)
体を温め、穏やかな滋養強壮効果で高齢者や体力のない方にも安心です。
不妊症・足腰が萎えて弱った状態、だるい・なんとなく力が出ない、物忘れなどの場合に用いられます。
ハンビ(反鼻:マムシの皮と内臓を取り除いた物)
全身の衰弱や内臓機能の衰えなどに使われます。
身近では、マムシ酒として、疲労回復・冷え性・打撲などに使われてきました。
❀ 養命酒はアルコール14%のお酒なので、
運転前の飲用は控えましょう。
❀ 糖尿の方は、一回分20mlが40Kcal
に当たりますので、参考にしてください。
❀ 初めての方は二ヶ月間を目安に飲んでみてください。
効果が感じられないようなら、医師の診察を受けるようにしましょう。